11月は菊づくりを行う菊花愛好者にとって特別な月です。
この月は全日本菊花連盟の全国大会を始め、日本全国の各所で菊花大会が開催されるからです。私も11月7日「第45回 (社)全日本菊花連盟全国大会 花巻大会」に出品いたしました。会場では全国から丹誠込めた力作がところ狭しと展示されまさに壮観です。みなさんも機会がありましたら是非一度ご覧下さい。
また、今年も高幡不動尊菊まつりが開催されました。左写真はそのときに出品した菊の一つです。結果は、厚生労働大臣賞を頂くことができました。
花が美しく大きくふっくらと咲くためには 、いろいろと気を付けなければならない点があります。
まず、余分な花芽を摘んで1つのつぼみに集中させて咲かせるため、花は大きくなります。その花を支える輪台をつけてあげましょう。
厚盛りの花は大きくふくらむので、先に開いた花びらが開きすぎて形が崩れたりしますので、花の形を整えるためと、花の日焼けを防ぐためにガーゼをのせてあげるとよいでしょう。強い日差しを直接浴びすぎると、花びらの先から色あせてしまいます。
菊の栽培をしているハウスの外観です。いよいよ花が大きくなる時期には、このようにハウス全体をうすいメッシュで覆い陽ざしを加減します。栽培場所により都合があるとは思いますが、強い日差しを加減する工夫をされるとよいでしょう。
夏に肥やしを与え、菊もずいぶん大きくなりました。葉も大きくなり茎も太くなりました。さて、これから花を大きく育てるために重要な判断が必要となります。これには経験が必要です。菊の生育状況をみきわめて花芽に栄養を集中させるためです。
この時期で手を触れている写真の菊は生育が順調で、そろそろ一つの花芽に栄養を集中させる時期です。
早めに集中させすぎると花が固くしまってしまいふっくらと大きくなりません。
こちらは前者の菊よりやや小さめの菊です。この菊は生育がやや遅いため早めに花芽に集中させ育てます。写真はよけいな花芽を摘んだ状態です。
夏の強い日差しをあびて菊も大きく成長してきました。葉も大きくなり数も多くなりました。
この時期になると菊づくりの重要な分かれ目を迎えます。花芽をつけるからです。この時期の花芽を育て花咲かせるのか、それとも次の時期の花芽を育てるのかを選択します。
左の写真の先端部分の小さなつぼみのようなものが花芽です。この時期の花芽をを育てると栄養が集まり花が固くつまってしまい、ふっくらと大きく育てるのがむずかしいのです。菊づくりの経験があまり無い方はこの時期の花芽は摘み、菊を伸ばしましょう。
左の写真が花芽を摘んだ後の状況です。ぽつりと焦げ茶色になっている部分が花芽を摘んだ箇所です。その脇のところからさらに菊が伸びて行きます。
菊もだいぶ成長してきました。このくらいまで成長したら、よけいな枝を落とし、支えをさして縛ってあげましょう。写真の菊はだいぶしおれていてご心配かと思います。しかし、この時期はしっかりと根を育てる大切な時です。水のやり過ぎは禁物です。これくらいしおれていたら、夕方に水をやりましょう。
左の写真は葉っぱがだいぶ黄色く変色してきています。いわゆる黄化症です。これは、根が痛んできているサインです。これ以上黄色くなるともう危険信号で、健全な成長が望めません。原因は水のやり過ぎによる根グサレの可能性が高いです。辛抱強く様子を見て水をやりを慎重にしましょう。良い花をつけるために今しっかりとした根を育てましょう。
さし芽も根が付いたら培養土をいれたポットに移します。培養土は園芸店の市販のもので良いでしょう。ポットに移しても根がしっかり生えるまで強い光はあまり良くありません。左の写真のようにすだれなどで日光を調節して上げましょう。
ポットに移して根が張って来たら日よけは必要ありません。さし芽から伸びた菊は葉の数も増え背丈も伸びてきました。これくらいになるとポットにしっかり根が張っている頃でしょう。
ポットの下をのぞいてみましょう。中央の下穴からひょろっとひげのような根が出て来ています。これが見えたらポット内にしっかり根が張っている証拠です。
次は5寸鉢に植え替えです。鉢に植え替えたら水やりに注意しましょう。鉢にざぶっと水をやり土が乾いてきたら中央からちょぼちょぼと水をやります。菊がしっかりと自分の力で根を広げていくことを促すようにします。あまりたっぷり水をやりすぎると菊がしっかり根を張ろうとしません。
左の写真は、挿し芽を終えたところです!前回の手順で挿し芽を行いました。挿し芽を行うには水はけの良い土が必要です。私は赤玉と鹿沼土を50%づつ混ぜ合わせたものを用意すると良いでしょう。芽を摘む時はカミソリを使用しましょう。挿し芽の際に3枚くらいの葉を残した状態で挿し芽をします。
切り取った芽の先端部分に生えている細かな毛を歯ブラシでこすり落とします。切り口の先端にルートンという発根促進剤を塗ります。園芸用品店で手に入ります。しっかりと根付くまで強すぎる日差しや乾燥は禁物です。左写真のよしずなどをかけ陽ざしを調節してあげると良いでしょう。
菊は多年草の植物です。根がしっかりしていれば毎年芽を伸ばし花をつけます。左の写真は去年花をつけた鉢植えの越冬組です。霜が降りるような寒い時期は屋内に入れるなどして寒さに気をつければ、このように元気に葉を茂らせます。
菊づくりはこの冬を越えた菊から生える新しい芽を摘んでさし芽をするところから始まります。
では、さし芽の仕方をご説明します。
まず、今のびている菊のを根に近い葉を残し、根元近くで切り取ります。
すると、やがてそこから元気な新しい芽が伸びて来ます。
そこで、この芽を摘みます。
摘んだ芽を新しい鉢にさし芽をします。今年はこの芽を育てて菊づくりをします。
新芽を採ったところで冬を越えた菊はお役御免です。ご苦労様でした。
平成21年4月1日
菊づくりにおいてこの冬の時期に行うことは土づくりです。秋から冬にかけて降り積もった落ち葉を集め、それを積み込んで腐葉土づくりの準備をします。落ち葉は約2年間ほど寝かせて土をつくりますが、落ち葉にぬかやリン酸カリを豊富に含むコウモリの糞などを加え、菊づくりに適した堆肥にして行きます。
使用している落ち葉は、日野市内の造園業者の方から頂いたものです。通常はごみとして消却処分されるものですが、堆肥として自然に返し再利用しています。
平成21年2月1日
「菊たより No.1」のなかでご紹介しました、毎年秋に販売される新花(菊の花)に日野市ゆかりの名前をつけて日野市のPRに役立てよう!という話がありましたが、左写真の花(管系の花)に「日野の誠」という名が付き販売されることとなりました。これをきっかけに全国の菊花愛好家の間で日野の名前がひろまりPRになればと思います。なお、この「日野の誠」は、相模原にあります「彩胡園」で販売されます。(彩胡園 神奈川県相模原市上溝2386-6 TEL 042-761-9697)
平成21年1月1日
菊作りに携わって今年で三十数年になります。はじめは父の手伝いでしたが、父が体調を崩してから自分で栽培するようになりました。現在約二百鉢栽培していますが、議員になり忙しさがますなかで、一時は菊作りをやめようかと思いましたが、市花でもある「菊」、そして菊作りの文化・技術を伝えるためにも頑張って続けています。朝5時頃から菊の手入れ等の作業は大変ですが、高幡不動尊菊まつり、そして全日本菊花連盟全国大会の菊花展での最高賞を目指して励んでいます。
さて、最近菊を作りながら思うことがあります。それは夏が異常に暑く菊の生育に悪影響を与えていること、また開花期も遅れているということです。区画整理により環境が変わったこともあるのでしょうが、地球温暖化との因果関係が気になるところです。
また今、菊作りを通して日野市のPRを考えています。毎年秋に販売されます新花に日野市にゆかりの名前を付けていただき、販売する取り組みも行っているところです。菊作りをしてみたい方、菊作りに関心のある方はどうぞお気軽にご連絡ください。
平成20年11月27日